『ガンメタルハウンド【プラス】』雑感

 みかん。

 や、レンタルマギカの葛城みかんのことでも、ぽてまよの夏みかんのことでも、折笠富美子さん演じる某ちっこいおねーさんキャラでもなく、

 未完。

 未だ完了せず、ということですよ。

ガンメタルハウンド【プラス】表紙

ガンメタルハウンドプラス (ダイトコミックス)
著者:やまむら はじめ
販売元:大都社
発売日:2003-07-07
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 人類が宇宙へその版図を広げ、幾星霜のときが経った未来。

 辺境惑星で万年ヒラの刑事を続ける問題児・メッツガーと、中央から左遷されてきたエリート・フォルトナのふたりが、何でもない事件を担当したところから始まり、旧文明の遺産に連なる陰謀劇に関わっていく、というお話。

 旧文明の遺児。高次の存在に選ばれた者、選ばれた支配者。同じ宿業を背負いつつも、違った道を歩むふたり……とかとか、作者本人があとがきで書いている通り、他のやまむらはじめ作品にも見られるモチーフが混在。

 原点というと、また違っているのでしょうが、洗練されていない、荒削りのやまむらはじめ分が詰まっているのが本作なのでしょう。

 一般的な“成功”ではなく、“自分らしく在ること”を何より優先するというメインの登場人物たちの姿勢とかは、お約束。
 これはやまむらはじめテイストというよりも、ある種のジャンルの類型ではありますが、つまりやまむらはじめさんはこっち側寄りの作家さんであるということで、つまりはハードボイルドちっく。

 いつもなら、本巻の結末以降から、登場人物たちの“弱さ”が噴出し出すのですが、今のところは強さだけが見えている感じ。

 苦しみのもがく様と、そこから抜け出す過程を息苦しいまでに描くのがやまむらはじめさんだと思うので、本当に「まだまだこれから」というところで終わっているのが残念ではありますが、とりあえず神様ドォルズとか見ておけばいいんじゃないかって気がするのでそっちでこの鬱憤は晴らそうと思います。

 また、活動的なメガネっ娘で、別に杓子定規というわけでもないヒナオのキャラ立ては割と好きかも。ま、なんか冷静にかんあげると特徴的なのはメガネだけで性格はいつものやまむらはじめヒロインなのではありますが。