グレシャム様夢小説

 書くか。グレシャム夢をよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃりんちゃりん。音が聴こえる。

わたしには音が聴こえる。魂の福音が。

「そうかそうか!それは1億ベルクだ、いいぞ」

太陽の日差しよりも、あたたかいパンよりも、厳かな聖句よりも、わたしを満たす声。

「―――お前はまだ100万ベルクだな」

花がほころぶ。

「はい、グレシャム様。もっとうまくカネを稼ぎます」

口元でのみ笑みを作って答える。無駄な動作は好まれない。
贅は富をうすくするから。うすく引き伸ばした魂はなにも生まないから。


ちゃりんちゃりん。

ちゃりんちゃりんちゃりん。

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もっとも富を増やすのはモノではない。ひとだ。
1ベルクのモノを100ベルクで売るよりも、100万ベルク稼ぐ人間を手に入れるほうがカネを掴み取れる。

ちゃりん。

「500万ベルクというところか?いいぞ!」

ちゃりんちゃりん。


「1億ベルクか?すさまじいな!!」


ちゃりんちゃりんちゃりんちゃりん。


「お前はカネを生み出す泉のようだ。限りなく湧き出るのだな―――」

ちゃりん。

眼鏡をかけた男がいた。後ろにいた。わたしの神様の背中にいる。

「終わってしまったんですね、グレシャムさん」
「残念だ」

男の顔が消えた。
わたしの手には、蜂の巣を模したような連装銃があった。

「これでは1ベルクにもならないわね……」

ちゃりんちゃりんちゃりん。

今日も音が聴こえる。

グレシャム様、そのとおりです。グレシャム様、わたしはここにいます――」

ちゃりん。

ちゃりんちゃりん

ちゃりんちゃりんちゃりんちゃりんちゃりんちゃりん。