東出祐一郎さんの『ケモノガリ』読了

 ケモノガリを読んでいると、どうも、あやながすずに見えてきていた。どちらかというと彼女はヴァレリア系なのだけれど、でも、すずのイメージが強かった。対して、では楼樹が双七くんに見えていたかというと、そうでもなかった。不思議。なんでだろう。
 そして、「ああ、このひとは幼馴染ものしか描けないのだろうな」と思いました。幼馴染ってより、恋愛ってより、依存ってより、作中で言うところの「癒着関係」と呼ぶのが正確なのかも。

 そういった意味ではコンシューマ版あやかしびとの「比翼の鳥」エンド(そういうエンド名ではない)が、彼個人としては、割と完成形なのかな、とも思う。

 強いつながり。一体感。それがあるから力が出る。お互い自分に自信がなくて、けれどパートナーは誇りで、それがあるから生きていける、というような関係性。

 難しいな。

 というのも、普段の僕はこういう関係性って割と否定しちゃうんですよ、さっくりと。でも、僕はなんというのかな、双七くんとすずが好きなんですな。

 たとえば、



 この動画の47秒ぐらいって、凄く辛い。辛く感じてしまう。そう思えてしまうくらいに好き。

 双七くんの才能は、通常意思疎通の出来ないものとの交流能力なのだよね……とか唐突なあやかしびと語りはこのくらいにして、そろそろケモノガリ感想へ戻るべきですよねそうですよね。

 お話をざっくり説明すると、「高校生の男女が修学旅行で拉致されて金持ちの道楽・殺人ゲームの標的とされいいように弄ばれる……はずが、主人公の男の子が唐突に殺人鬼に覚醒して返り討ちにしてしまう」物語、となります。祐一郎たんは同人で型月クロスオーバーもの書いちゃうくらいに遠野志貴が好きというか、彼の背景設定が好きなのだろうなと思いました。ぶっちゃけ本作は東出ファンじゃないとおもんないと思いました。

 おしまい。

 いかん。オチがない。

ケモノガリ (ガガガ文庫)ケモノガリ (ガガガ文庫)
著者:東出 祐一郎
販売元:小学館
発売日:2009-07-17
おすすめ度:3.0
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