封仙娘々追宝録「刃を砕く復讐者(下)」の感想文です。



はてさて、久々の新刊です。上巻から考えると5年ですが、短編集入れると3年ぶり。作者のろくごまるに先生はほとんど富士見書房の専属作家みたいなモンですから、――キングみたいに沢山名前を持っている訳ではない限り――この3年間は既刊本の印税だけで暮らしてきた筈です。雑誌本誌の連載なんかは随分前に終了していますしね。

…長くなりそうなので、前口上はここら辺で止めますね。

上巻のおさらい

上巻では静嵐刀大暴れ(笑)、殷雷刀の限界、都合よく分かった砥石の宝具の在りか。そして、鏡閃についての謎の提示、新キャラ轟武剣の登場。
「憎みきれない好敵手」あたりからチラチラ見えてた伏線がなんとな~く呑み込めて来て、すごくワクワクドキドキ感の溢れるお話でした。

感想(ネタバレなし)

で、今回。のっけから不吉な出だしで始まり、少し光明が見えた様な、「いつもの展開」の様な(「大団円とは言えないけれど、それぞれが収まりよく解決する展開」)、雰囲気で話が進みます。
ですが、冒頭で感じた「不吉さ」は鳴りをを潜めた訳ではなく、陰に沈んだだけで、「不吉さ」と言う曖昧模糊とした感覚ではなく、徐々に明確になっていき……最後は絶望が形に。わぁなんて抽象的な感想。






こっから少しネタバレ


 っと、気障な感じの言葉で締めくくっていますけど、だってラストで主人公とその相方があべしされちゃんだもの。ついでに、短編で活躍してた魅力的なキャラが簡単に壊されて(殺害されて、でも可)しまうのが分かっていますし。
で、毎度シリーズ御馴染みのことですけど、今作も敵役を頭ごなしに憎めない。殷雷が過去、轟武を切れなかった理由も「(ただ単純に)殷雷が優しかったから」では言い表せませんし。

導果筆がそれ程凄いとは思ってなかったし、深霜刀のご主人(名前忘れた。冷奴に生姜と醤油をたっぷりの人)がいつの間にか亡くなってたし。……彼は鏡閃にあべしされる理由が無い筈ので、もしかしたら軒えん(漢字変換不可)の一人だったのかも。

で、導果先生の言っていた忠告は、「結舞剣は『壊れた』けど、また直ぐ治るよ」という風に解釈してたのですが、どうなんでしょうか。

そんな感じで、ヒロインと相方が(一見)死んでしまってこの巻はエンドです。思いっ切り気になるタイプの引きです。またあと5年とか待たされたら泣きます。



……この調子で某作家の「オールドタイマーの時間」も早く出ないかなー。