『てとてトライオン!』プレイ日記 その3

 会長ルート続行中。

 めでたく付き合うことなった二人がひとつの大きなヤマを越えた直後まで進めました。

 このルートだと仲睦まじいお馬鹿さん二人を見守っていくというか、なんかもう色んな意味でのバカップルを愛でていくというか。

 会長が素でおバカさんなので彼女の“ダメな暴走”や、それを受けて“更にダメな暴走”をする慎一郎。

 二人の掛け合いは、自分自身への誤魔化しがない。本当に爽快で、騒がし楽しいです

 お話が語っていることはド直球もいいところなんですが、きっちり下地を築いてから魅せてくれるので妙な違和感もなく。
 何より面映ゆさを吹き飛ばしてくれるパワーがあります。

 気持のよい作品なんですよね。このまま、続いてくれればいいなぁ。


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 以下ネタバレ混じり注意!
 ゲーム進行状況は、具体的に言うと「女に二言はない!」まで。

 一度は中止の仮決定も行われた獅子ヶ埼祭の再開の目処が立ったところです。

 慎一郎が会長に見ていた裏表。

 彼が凄く注視して熟考するものだからついつい「大きな違和感を覚えているのだろう」と受け取ってしまっていたのですが、これは何のことはなく勘違いだった、と言ってしまっていいのかな。

 何だろう、こうなると、普通に慎一郎の方がおかしい子に見えて来てしまう。

 まー、サバイバル生活が長くて人付き合いの乏しい生活を送ってきた、ということなんでしょう。

 慎一郎が会長に見るギャップは「裏表のない人間はいないぜ!」レベルの話ですらなく、普通に気を入れるところと抜くところ。生きる上での力加減を見て驚いているんですからねー。

 生徒会業務中に毅然としているのは、その必要があるから。その必要がないときは、別の顔が現れる。
 別に、どちらかが本当の顔ということもなく、普通にどちらもがその人本来の顔。

 慎一郎がそういう“当たり前”を知ることで、理系野性児から真っ当な社会生活を送れる普通の男になるまでを描こうとか、そういうわけでもなさそうだし、なんじゃろなー。


 とかこういうメモを書きながら進めていたのですが、これはもう、僕の方に大きな見落としがありました。

 慎一郎は普通に会長のことが知りたかっただけ。

 どういう風に考え、どういう風に生きているのか、どんな女の子なのか理解したかっただけだったんですね。

 普通に、しっかりと、恋をする過程が、ひとりの女の子が気になり、惹かれていく様が描かれていただけ。

 ごめんなさい前回変なツッコミをいれてしまってごめんなさい><

 というわけで、弁解はこれにて終了。

 今回遊んだ部分で特に触れられたのは、過去の挫折とそれをバネにした再起。
 そして、何でもひとりで解決しようとするのではなく、時には敵対者の力を借りたり、みんなの力を合わせることの価値。

 力を合わせる方法は、誠意であり、「より良い道」の提示、と。
 リーダーシップとは「わたしの意見は正しいのだから従いなさい」ではない、と。

 誠意を導き出すのは、より良き道への、未来への期待だけではなく、悔しさを糧とするある種の反骨精神も必要。たとえ得られるものがなくとも、困難に立ち向かおうとする強い意志。
 それは単に困難に腹が立つから、目の前の理不尽に負けてしまうのが悔しいから。

 親しい一部の人たちだけでなく、普通の一般生徒の目線がしっかり会長の裏表を捉えているからこそ、学園の生徒が会長のノリについていこうとする説得力がありました。

 仕事を完璧にこなしつつおふざけも忘れない会長の行動をあれは半ばパフォーマンスなのだと、彼女には欠点もあるのだと、苦しいときに苦しいと言えないひとなのだと、皆が知っている。

 本当に、優しい世界。

 どこまでも丁寧で、ポジティブなエネルギーに満ち溢れています。

 もう、文句をつけられないかな。

 少しキャラクターにも触れましょうか。

 まず会長こと蓮見一乃。

 彼女のキャラクターは半ば演技だったものを自分の身に馴染ませ、一部としている、ということなんでしょう。

 もともと、お調子者なんだけれど根は真面目。でも、お調子者だからこそ抜けているところ、勢いに乗ると少し視野が狭くなるところもあった。
 これを看板にすることで、自分の性格の良い面だけを誇張することで「やりたいやつがやればいい生徒会長」を、「面白いことをする会長」に見せ、そして実績を重ねることで「とても魅力的で頼りになる生徒会長」になった、ということだと僕は読み取りました。

 だから、ノリがいいのは確かにもともとの性質ではあるんだけれど、普段から必要以上に「面白いことを言ってやろう、してやろう」というキャラ付けをしてしまっていて、それが染み付き過ぎているんですよね。
 なので慎一郎への揶揄は、行き過ぎてしまっていた。

 この行き過ぎたからかいが、他の男子に向かなかった理由は、芹菜さんがさりげなく保護していたことが大きく関係していそう。
 鹿子木先輩の言っていた「本当はおっかない」は、あまり問題にならないでしょうし。大抵の人は誰もが可愛いしかっこいいし怖いんです。一面だけを切り取れば、きっと持っているはず。

 だから、「本当はおっかない」程度ならあまり問題にならないはず。何より、彼女の弱さを知っている人たちなんですから。

 ま、会長の身からすれば、そういう人たち相手に優位を保ってからかう、なんてこともし難いでしょう。

 下級生は、「恐れ多い」という気持ちが強くて手を出せなかった。生徒会はいつも忙しそうですし、声を掛け難いというのは十分考えられる。
 また、声を掛けても「ごめん今忙しくて……」で終わってしまっていたんじゃないかな。

 時には授業よりも優先される生徒会に入って一緒に活動する初めての男子だということ、年下だということ、何より慎一郎が素直で誠実で熱血漢の快男児だったということ(能力も高いとかいうのはこの際関係なし)

 本当に、運がよかった。

 慎一郎の、心情。

 これは、結構一概にどうこう言うのは難しい。

 他のヒロインルートでの彼がどう出るのかわからないので、一概には言えないんですよね。

 だから会長ルートでの彼についてだけの言及になってしまうのが、少し不安。
 まー、しょうがないかな。

 彼はどこまでも素直で誠実な熱血漢。素直だから冗談が通じ難いけれど、誠実だから冗談に込められた相手の親愛の気持を汲み取ろうと、分かろうと努力する。
 単純熱血バカだから、傍にいる人の気持ちに直ぐ乗せられてしまう。自分の気持ちに気付くと、直進しか出来ない。

 本当に憎いほどの気持ちの良さです。

 ただ、「乗せられ易い」ように見えてしまうのは、つまり影響され易いのかな、とも思う。人を疑うことを知らないとまでは言わないけれど、一度信じると決めてしまったら、疑えないのではないか、とも。
 まー、ひとりでいるときはしっかり自分の気持ちに気づくくらいに熟考する性質なので、それは杞憂なのかもですが~。

 熟考するからこそ、相手のことを分かろうとするからこそ、その人の考えを、生き方を自分の物にしていく、ということなんでしょう。……依存気質の片鱗じゃないと、いいのだけれど。