ウィッチブレイド 最終話「光」の感想文です

あらすじ

 暴走するアイウェポン、力を求めるマリア、そして……。




感想

 ナソエフでは“ファーザー”と呼ばれる人物が自らの“娘”に対して“母”を求め、その“娘”は父でありそして同時に夫であるとも言えるファーザーを殺害して成り代わり、地位だけでなく「“母”を求める」という部分まで受け継いでしまっていました。

 導示は字面からして“親”という印象があると思うんですけど、音の響きは「どうじ」。転じて童子、ということだったのかな?ネオジーンの父であるところのヌクミズが重度のマザコンだったようにエクスコンやアイウェポンの父(とも言える開発責任者)である鷹山も、そう言えば母親はいなかったんですよね。

 この二つの組織を“二人の親”を考えてみると、自分の子供に殺し合いをさせてみたり―実際の性交渉こそしていませんが―娘と関係を迫って自らの母親代わりにしたりと糞っ垂れどもでしたが、翻って雅音だけは自分の娘のために行動していました。自分の子供を守る為に。
(最終回サブタイトルの「光」って=「未来」=「子供」だと思うんですが、どうでしょうか)

 当初考えていた通りのテーマではあるのですが、最初の方はもっと主題をなおざりにしてバトルシーンだとか濡れ場だとか映えるシーンをバンバン魅せていくアニメだと思っていました。しかも最終話に至っては映えるシーンを捨てて主題を描くことに力を入れていたりと、制作陣の力の入れどころがはっきりと伝わってくるほどでした。
いやあ、でもその、何と言うか、こういうドンパチアクションモノで良かったです。と言うのもこういう方向性で、こういう描き方ならば、ウィッチブレイドやアイウェポンなどの超常的な設定を使わなくとも普通に可能で、それをやってしまったら滅茶苦茶重くて陰鬱とした作品になってしまうと思うので(汗)

 うん、テーマが親子とその在り方と見るなら素晴らしい作品だったんではないでしょうか。荒廃した世界という設定がどうにも投げっぱなしかなー、とは思えど、気付いたら人生うらぶれちゃった男(主に斗沢ちゃん)が再生していますし、お話の面では完璧だったんじゃないでしょうか。
欠点があるとすればアサギ、アオイなどの一部のキャラクタを活かしきれなかったことだと思いますけど、そういうのはこの作品にとって実はおまけでしかないと思うので仕方ないかなと思います。



 えーと、そう言えば中世で魔女狩りの対象になった女性ってなにも異教徒、ないし異教徒に違いないと難癖を付けられた方だけでなく、不義の子や私生児を持った母親もそれに当て嵌まるんですよね。あ、いや、それだけですが。