『てとてトライオン!』プレイ日記 その1

 体験版パートはガスっと飛ばして、2時間ほど遊びました。

 優しい嘘に塗れている世界なんだろな、と感じましたね。

「あるいは、嘘ではないのかも?」

 一時でもそう信じさせてくれるような、そんな爽快さと勢いを兼ね備えた作品であることは確かでしょう。

 ……うーん、なんかこう書いている僕が穿った見方しかしていないような印象を与えてしまいそう。

 それはそれであながち間違いでもないんですが、ま、何よりは、フィクション。

 物語とは、人の一面だけを抽出して面白く仕上げてくるものですし、何より、作品で描かれている“その一面”だけを切り取って、想像を広げる余地のある媒体。

 ここから何を得るか、どう楽しむかは、受け手側次第でしょう。

 とにかく元気になれるゲームなので、しょんぼりしている人は手に取って見るのもいいかもしれません。

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 以下ネタバレ混じり注意!  具体的にいえば藤ヶ峰先生4連勝の場面まで、遊びました。

 基本的に夏海がけしからんのですが(いい意味で)、これ、普通の男の子ならコロっといっちゃいますよね。煩悩的な意味で。

 何やら夏海とはウミショーばりのフラグが立っているようですし、何よりからかいつつも面倒見の良い彼女と慎一郎くんとはなかなかお似合いに見えます。
 「まだあまり親しくないから(+女の子は苦手だから)」というだけでなく、相性的な意味でも最初はぎこちない掛け合いが、お互いの誠実さと手と手を取り合おうとする姿勢によって徐々に“嵌まって”くる様は、序盤ながら「うまい」と思えましたしね。

 手鞠は意外と「てまー」と言わないのですが、積極的に慎一郎くんに近付こうとしていて微笑ましいキャラクターです。
 言っちゃえばクーデレというかデレデレっ娘ですね。

 打算のある(つまりスキスキ攻撃を意識して行っている)女の子らしい女の子、というのは嫌いではないですね。
 その切欠はアレでしたが、まー、ほのかな好意が芽生える程度であれば、許せる範囲。「なんとなく気になるし、いい人そうだからからかうの含めてちょっかい出してみようかな」レベル、というのはなかなかどうして面映ゆく、そして面白いですし。

 会長は想像通り、というか。もはやテンプレのような気もしますが、やっぱり好きなタイプですね。
 ただ、キャストさんの声質・演技(というか発声)で独自性は出ており、期待できる要素はバッチリ。

 このナチュラルな感じをどう活かしていくのか、気になりますね~。

 ミニスカメイドはまだまだ底が見えてこないかな、定型に収めようとすればやかましツンデレとか、言っちゃえるんですけども。

 狙ったのか別にそうでもないのか、声優さんの演技がちょっと行き過ぎなくらいにキンキンまくしたててくれるので、「可愛さだけじゃないんだよ」というキャラ立てになっていて、気持ちよい。
 キャラではなく、僕の方がデレれば「何を言うむしろこのキンキン声がいいんだ」とか言い出してしまいそうですが、この若干のイラっがあるから楽しんですよ~。硬軟あることで掛け合いに風味が出るよ!(常に軟だと味気ないよね、感情が跳ねるような、テンションが乱高下するような会話を、男の子側も楽しむべき)

 サブキャラ陣も、悪くない。ひとつの要素で勝負してくる単純なキャラ立てのようで、一癖も二癖もあり必ずしも表面上の顔しかもっていないキャラクターたちではない。
 脇にいますが、うまく“中央”も盛り上げてくれますし、こういう“広がり”は好きですね。

 最後に、主人公たる鷲塚慎一郎くん。

 体験版のときに感じた男児っぷりは本編でも健在で、予想していた独り善がりな面というのは、あるいは出てこないのかも?
 商店街アーケード浮上なんか、僕にはそう見えるんですが、自主性(主体性)と積極的なチャレンジ精神を推奨している作品のようですし、どこまでもポジティブに描いてくれるのかもしれません。

 僕は「どんな時も善人だよ!」というキャラ立てをされるとどこか嘘臭さを感じてしまうひねくれ者ですので、「ある状況では好ましい性格だけれど、また別のある状況ではちょっと……」ぐらいのキャラの方が好きになれるんですよね。
 で、欠点をじくじく直していったり、「そこはもう直しようもないほどにその人のパーソナリティに根付いており、むしろ長所とも言えるんだか別に無理に改めなくとも……」というような欠点はパートナーが補ったりするドラマの方が好きだったりします(ただ、「これは変えられないからいいんだい、俺はこのまま変わらんぞ」が結論に来ていると、他の意見・考え方を受容する素地のない我儘さんになってしまうので、この辺バランスが大事なんですけどね)

 僕にとって、佳作となるのか名作となるのか。

 今のところは、「どう頑張っても佳作」な感じの手応えではありますが、けれども期待しながら遊んで行こうと思います。

 もっと“ダメ”なところも見たいよ!!