true tears 第2話「私…何がしたいの…」の感想文です

 絵コンテ・西村純二、脚本・西村“ジュンジ”。今回の脚本家名は監督の変名ですか?水島精二監督とか、桜美かつし監督とかも微妙な変名をよく使われているんですが、理由がよく分からない。脚本クレジットであれば、書いた脚本をシリーズ構成さんにガンガン修正を掛けて貰っているからなのかなーとか思えど、じゃあ共同ペンネーム作ればいいじゃないってなっちゃいますし、よく分からない。
 ……それにしても、原画スタッフどころか作監と演出までも海外委託しているのね。なんというか、本当にアニメ産業怖いですねぇ。本作の出来がいいだけに、恐ろしい。「さ、作画なんて彩色で一定以上誤魔化せるんだから!!」とか思ってみても、彩色も委託ですもんねぇ。

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キャラクター


仲上眞一郎(C.V.石井真
 あ、やはり彼のメンタリティは石動乃絵に近いのだな、と。彼には比呂美よりもアイちゃんよりも、あるいは下手をすると三代吉よりも乃絵の気持ちの方が理解し易そう。
 彼は乃絵の好意を勘違いしない。

「わたし、眞一郎を見上げるの大好き!」

 で特に浮かれたり、いや待てよと言葉を吟味するまでもなく、

「本気で…俺は雷轟丸の代わりってことかよ……」

 と即行で恐らくは真実を言い当てているあたり、凄い。いやまあ、「それって空に近いところにいるってことだもの」と補足はされているわけですが、普通の女生徒がその様子を見ると比呂美に「眞一郎くんが取られちゃってもいいの?」となるわけで。やっぱり、ある種のシンパシーがあって、彼のその感覚はなかなかどうして正しいのではないでしょうか。

 比呂美の

「授業が終わると木に登って通りかかる男子生徒を逆ナンしているんだって」

 という言葉の意図は、「あの子男漁りしているのよ(笑)(乃絵への中傷だけでなく、男の子なら誰でもよかったのよ、あなたなんて彼女にとって“特別”でもなんでもないのよ、と眞一郎への非難も若干含まれる)」であるんでしょうが、それを真っ当に受け取り過ぎて「鶏の代わりに逆ナンされたのか(´・ω・`)」となってしまうあたり、うん、凄くいい。

 大抵の物事に対して脊髄反射のように反発した態度を取るけれども、その実そんなのは表向きのポーズ(建前とかそんなレベルではなく)で素直過ぎるのもいい。

 “雷轟丸の墓”に対して「あ、これはいつもの乃絵らしくないな」と直ぐに気付くのも心憎いよ!!

 ま、今回一番の萌え要素は乃絵の笑顔が水彩画になったシーン。それは眞一郎くんの中で彼女の表情が一瞬で一幅の絵に変換されたわけで、「おー、絵本作家らしい」という意味でも気分は高揚し、「彼女の笑顔をてらいなく受け止められる」という部分で一気に噴き上がりました。最高だよ眞一郎きゅん!!!!!!!

 他には、涙を閉じ込めた小瓶を自分なりに解釈し絵本のネタに使えないかなーと黙考しているシーンで、小瓶に閉じ込められた自分の隣で比呂美もまた閉じ込められていることに気付くシーン、でしょうか。彼の中で彼女は泣いているイメージが強い、ということでしょうか。それは過去の記憶がそうさせているのかもしれませんし、あるいは眞一郎くんの目には比呂美がずっと泣いているように見えているのかもしれません。いいねいいねー!!

石動乃絵(C.V.高垣彩陽
 初見では眞一郎のことを「あなたは飛べない」と評し、次の日に彼がティッシュ箱を工作して作った鶏を持っていくと「飛べそう!」と手のひら返し。
 まぬけづらはこれを見て「どうやら彼女は直感派ではあるけれど、直観派ではないんだな」と思ったんですが、いやはや比呂美に対してはなかなかどうして鼻が利く。ここら辺の反応が眞一郎くんとは違っていて面白い。似ているけれども、やっぱり違う。

 眞一郎くんの顔は、大まかに分けると3つくらい。一人で居るとき(細かく分けると絵本のネタを考えるとき/普通に内省しているとき)、比呂美と接するとき(これはたぶん、好意を寄せている相手全般に対してで、たとえば絵本作家として憧れの人とかを目の前にしたとしても同じかな。腫れものに触るような、壊れものを扱うような、そんな顔)、友達と接するとき&家族と接するとき(この2つが大体同じテンションというのは面白いなと思うんですけどね。乃絵はこれ+内省verの顔に近い)
 比呂美なんかはもっと顔が多くて、それでいて差分が激しそうですが、はてさて彼女はどうなんでしょうね。

 気になるのは、自宅で仲睦まじげに接している男性、でしょうか。エンドクレジットだと同じ苗字なので少なくとも縁戚関係にあることは分かります。しかし、父親というには若過ぎて。
 血の繋がりのあるなしに関わらず、二人が不健全な関係にある方がロマンスとしては燃え上がるでしょう。分かり易くもある。

 普段ならまぬけづらもそれを望むんですが、この作品では別にいいかな。物語としての平易さよりも、石動乃絵というキャラクターそのものの方にこそ興味がある。

湯浅比呂美(C.V.名塚佳織
 ちょっと待っていきなり何なのこの娘。

 少し、二人の関係が把握出来ない。彼女の父親は眞一郎パパの友人であるわけで、いやそれを差し引いても、小・中・高同じなら普通に幼馴染だわな、というのはもちろん分かる。
 け、けどけど!!第1話の時点で眞一郎くん側からの彼女へのイメージって「昔からほんのり憧れていた女の子。今でも気になっていて、いつの間にか同じ家に住んでて、うちに居ると彼女の顔は暗くて。どう接すれば正解なのかよく分からない」みたいな感じに見えたよっ。要約すると高嶺の花的なソレ。

 昔から、単なるクラスメイト以上には仲が良くて、というのは分かった(それが友達以上恋人未満なのか、クラスメイト以上友達未満なのかはひとまずさて置いて)。で、彼女が仲上家にやって来てからは、少し気まずいと。
 まぬけづらは気まずい理由として、実は仲上父の隠し子、というのを想像していました。ですが、ふむーん、何と言うか、こうなってくると単に「思春期が故」で済んじゃいそうでもあり、でもそうすると仲上母の反応が説明付かんしなぁ、で戸惑っています。

 問題は、比呂美の眞一郎への気持ちが過去の思い出であるだけなのか現在進行形であるのか、でしょうか。「昔好きだったけど、今は好きってほどでもなくて」みたいな微妙な状態にあって、それでいて眞一郎の自分に対する慕情にも気付いていて、といった感じだったりしたらものっそい燃えるんですが、どうか。で、気持ちは離れているのに妙な独占欲が湧いていたり、とかとか!!

 ただ、思う。もしも比呂美が眞一郎くんに好意を持っているのであれば、その理由をきちんと掘り下げて欲しいなあと。

安藤愛子(C.V.井口裕香
 アイちゃん理不尽過ぎwwww

 眞一郎と乃絵の噂を聞いていてそれでイラついているのか、それとも男子特有の女子寸評みたいな話に嫌悪感を示しているのか、単に自分ひとり仲間外れで内緒話を始められたので拗ねているだけなのか。

 レギュラーキャラたちよりもひとつ年上とのことで、絶対的に描写量が減ってしまっています。それは強みであり(お姉さんは凄いんだ、というファンタジーを見せられる。それは視聴者にとってというより、弟分二人に対してという面が強い)、弱みでもあるかなっと。

野伏三代吉(C.V.吉野裕行
 まあ彼女の前で他の女の話をすりゃ怒られるわな。

 眞一郎の豪華弁当の内容が気になるところでもあります。

感想
 面白かった。今回もまた、面白かった。取り立てて先鋭的なセンスは感じないのですが、脚本と絵コンテ・演出・音響の噛み合わせが素晴らしくよくて、全体的に丁寧な作り。SEひとつとってもいい感じ。衣擦れ(ここにしっかり音を入れるのはエロい人だとまぬけづらは信じています)、足音、戸の開け閉めなどなど。素敵ー。

 お話としても、面白い。奇抜なものではなく、ありふれた夢を持った男の子が日々邁進している姿というだけでまぬけづらには心地よい。それだけでなく、ちょっと不思議な女の子の“不思議”が解明される様を観てみたいし、普通の女の子の持つ“普通”さがつまびらかとなる様も気になる。

 スリリングな事件が待っているわけでもないのに、次回が楽しみな作品です。


 以下駄文。


 高岡ルミの中の人がミルノ純さんでびっくり。というか、今年初めての「俺大勝利!!」の瞬間でありました。あ、分からない人に言っておくとバスケ部の先輩(部長?)さんですね。明らかに脇役臭漂う比呂美の親友っぽい子よりも更に出番のなさそうな役なんですが、それでもまぬけづらだけは出番を待ち侘び、演技を褒め称えて行こうと思います。
 あの人と共演させちゃうなんて凄いよね!La'cryma→CIRCUS→身内人事?とか穿った事を考えてしまいそうなところなんですが、だとしても、嬉しい。本作はあざとくてクドイ演技よりも、ナチュラルな演技が求められる作品でしょう。一部のキャストさんはそれを新人さん故のたどたどしさでクリアしていますが、ミルノさんなら意識的な演技でカバー出来る、とまぬけづらは考えています。