喰霊 -零- 第4話「務大義―つとめのたいぎ―」雑感

 入浴シーンでは通常の湯気と、あからさまに一部分を覆う濃い湯気がありました。
 が、隠されていたのは神楽のみで黄泉はモロ。

 つ、釣られたりなんかしないんだからねっ!

 今回のエピソードを母の愛と父の愛の違いと見るべきか、それとも孤児故のコンプレックスじみた執着と家族愛の違いと見るべきか。

 結構、難しいところ。両方であるとも、言えそうではありました。

 黄泉は神楽が実戦で活躍することをあまりよしとはしていなかった。「わたしも乱紅蓮のような霊獣が欲しい」との言葉に、表情が翳っていました。

 僕なんかは穿った見方しか出来ないので、「彼女を守るために実戦には出してもあまり危険なことをさせたくなかった」ではなく「素質に勝る神楽が実戦で経験を積んで自分よりも強くなるのが怖かった」と受け取ってしまいましたし、「(第2話で雅楽が白叡を継承する際に多大な苦痛を伴っていたように見受けられたので)霊獣の使役はまず契約、その際の苦痛、そして家を継ぐ重さ(まず雅楽が死ななければ白叡の継承はないことが大きい)を案じた」というよりも「分家筋の諌山家の持つ霊獣よりも大きな力を持つ霊獣を持つことになれば、今のところは優っている“実力”すらも容易に抜かれてしまうのが怖かった」と受け取ってしまう。

 要は、黄泉って神楽には自分より下にいて欲しいんじゃないかなー。それは肉親のいない孤独からの嫉妬雅楽は厳しいが、そこには“使命への責任”だけでなく娘への確かな愛情がある)、血筋による才能への嫉妬、家名への嫉妬(本人が実績で積み上げたものではない名声・権力・強力な霊獣が用意されている)などなどが、原因にあるように思う。

 「自分よりも圧倒的に恵まれた存在が、自分の庇護下にあり、自分なしでは生きてはいけない状態にある」というのが、彼女に暗い喜びをもたらしているんじゃないかな。

 もちろん、建前と本音はそうそう容易に分つことが出来なくて、本当の意味で神楽を案じている面もあることは、あるのでしょうが。

 この“闇”を受け止めて、慰撫することの出来る存在に飯綱紀之がいるんですが、彼は逃げちゃっているんですよねー。黄泉が思い詰めちゃっているのは、退魔師であるということにアイデンティティを拠っているしまうところが大きいので、だったら別のところにもアイデンティティを置けるようにしてあげればいい。

 違った生き方、違った幸せ、違った“見方”。桜庭が言っていたように「気がないわけではない」のは確かなようですし、やり様はどうとでもあったはずで。“重い”のは分かりますが、曲がりなりにも年上の男子なわけなんですからもう少ししっかりしていて欲しかったかも。

 黄泉の養父は土宮家総代代行をしていて忙しいようですし、あまりにも彼女へのフォローが薄過ぎる。紀之じゃなくて桜庭が婚約者だったらよかったのにね!

 壊れることが分かっている蜜月。さて、どこまで続くのでしょうか。やっぱり第2話ラストが本作のクライマックスなのかなー。