WHITE ALBUM 第7話「イメージはどんどん構築しなきゃ。ただでさえ、端から崩れてくものなんだから」雑感

 今になって思い出されるのは彰の「あいつ、兄貴が死んじゃってから請われちゃっているみたいで」という叫びで、「そんなことない」と声を荒げた冬弥で。

 まあ、あの中で言えば由綺が一番“壊れて”いて(なんといっても素)、冬弥は冬弥で欠けているものの多い子なんで、なんとも言えない。

 美咲さんは陥穽をせっせと用意しているというか、悪魔的だよなって思いますね。彼女が誰かに尽くすのはたぶん「頑張っている自分」が好きなのだろうし、演劇部を辞めなかったのはねじ曲がった自尊心の発露のように見えるし、既成事実だって作り始めた。
 意中の男が当世のアイドルをちゃん付けで呼ぶと生まれた怒り、嫉妬、独占欲、とかを考えると、誰よりも厄介な自意識を持っていると伺えたりするのが恐ろしい。

 もちろん、他人を見るとことをせず自分の世界だけに生きている由綺が一番怖いのは確かではあるんですが、いや美咲さんも劣ってないよね。彼女自身が、ある種の陥穽で、関わりあいたくない感じ。


 たぶん、マナは何かしらのコンプレックスを持っていて、ルサンチマンを抱えているのだろうけれど、だからこそああいった高慢な態度をとりたがるのだろうけれど、彼女はどこかそれに、惨めさに自覚的であるように思う。だから、冬弥に譲歩するのではないかなと、そして「彼に付き合ってあげている」という行為は彼女にとって慰めになると同時に、その行為の意味を自覚したときに彼女の惨めさを助長させる要因になるのでしょう。
 しかし、それでも、彼女は自分の弱さを受け容れられそうではある。というのも、(彼女にとっては)荒唐無稽な発言を繰り返す冬弥を完全には否定しないから。自分の意にそぐわないものを、受け入れられるから。そんな姿勢こそ、彼女は見せないのだけれど。

 とか書くとベタ褒めし過ぎですかそうですか。

 はるかは、彼女を壊れていないと言った冬弥に責任を取って欲しかったかな、というのが視聴者であるところの、僕の印象。
 もちろん、何があろうと、彼女の問題は彼女の問題で、本当のところ誰かが責任を負うべきものではないのだけれど、それでも、ゆっくり癒されるしかない傷というものもあって、あるいは誰かと触れ合うことで耐えられる出来事というのも、あるでしょう。

 冬弥にとっても、散歩はある程度必要なことだったようにも感じられます。彼は自分が安定して立てる土台を欲しているようですし。

 ということをグダグダ書きましたが、冬弥の、前回からの、いやもっと以前からの現実逃避が生んだ歪みが、そろそろ彼らの実生活に影響を及ぼし始めた、ということですよ。怖いねぇ。でも、冬弥は果たして責められるべきなのかな。心の弱さは、責められるべきものかな。

 ま、それで誰かを傷つけるようでは、確かにそれは………。